2016年3月11日金曜日

ウガンダの隣国(1)南スーダン


前回の記事で触れたとおり、ウガンダは内陸国で、5カ国と国境を接しています。
これだけの隣接国を持ってる国は、世界でも珍しい気がしますよね。
ヨーロッパでいうと、スイスが4カ国
南アメリカでは、ボリビアが5カ国といった位ですが、
アフリカには、ブルキナファソ、ザンビアなど、コンゴ民主共和国においては9カ国の国境線を有しています。

日本やイギリスで生活をしていると、島国主義というのは感じますが、内陸国もまた、防衛上の理由から、排他的な雰囲気を感じます。



ところで、ウガンダを取り巻く国を考えるとすると、隣接している5カ国(南スーダン・コンゴ民・ルワンダ・タンザニア・ケニア)と、

その他、近隣国として、政治的にも経済的にもウガンダとかかわりの強い2カ国(ブルンジ・エチオピア)を考える必要があるように感じます。


















この中でも特に、ルワンダ・タンザニア・ケニア・ブルンジは、ウガンダとともに東アフリカ共同体を構築しており、ビザや関税など、外交上一定の協力関係にあります。

今回はそんな近隣諸国南スーダンについて簡単にとりあげてみたいと思います。


①内戦

ご存知の方も多いかもしれませんが、南スーダンは2011年に北スーダンと分裂する形で独立した新しい国です。

ごく簡潔ですが、

イスラム教が優勢で、独立後実質的統治を行ってきた北スーダンと、
キリスト教が優勢で、油田の利益を搾取されてきた南スーダンの対立でした。


②難民

内戦中に生み出した難民が帰還、しかし新政権樹立後の国内政治対立により、未だ70万人以上が国外避難しています。そのうち約20万人がウガンダ、特にウガンダ北部に避難しています。


③日本の自衛隊活動

この国と日本のもっとも強いつながりは国連のPKO活動のように思います。

現在、南スーダンでは、自衛隊員350名が活動しています。
主に、帰還民のシェルター設営や、道路・下水道などのインフラ整備を行っています。


















まったくの偶然ですが、以前、この活動に従事されていた防衛省職員の方がロンドンの大学院に留学されていたことがありました。
その際、日本人向けに勉強会で講演くださったのが、いまでもとても印象に残っています。

https://sites.google.com/site/iddpuk/workshop/2014-2015/2014-2(議事録もあります)



③自衛隊員の休暇

南スーダン自体からは少し話が脱線していきますが、とても印象的だったので、書かせてください。

いわずもがなですが、南スーダンは首都ジュバ以外の全地域で日本政府により退避勧告が出ている危険赴任地です。
そのため、自衛隊員は定期的に、国外での休暇が認められています。

しかし国外といっても、日本へ帰国できるのではなく、近隣でもっとも治安のよい、私が滞在していた、ウガンダの首都カンパラにて休暇を過ごすのです。

私も、カンパラ滞在中に、数名の隊員にお会いしました。
みなさんとても気さくで、テニス大会に参加しては、未経験にもかかわらず、さすがに運動神経を発揮してくれる、がたいのよい男たちでした笑


④安保法案

カンパラにいるだけで、あんなに遠かった南スーダンが近くなりました。
私が滞在していた2015年9月、いわゆる安保法案が可決されました。
永田町で可決された安保法案の影響をもっとも強く受ける方々の一人が、カンパラにいました。
まっくろに焼けていました。

日本から遠く離れたカンパラにいる青年の人生を変える権力を永田町という街が持っている。
それが間接民主主義というものです。
そのねじれに立ち向かうのが選挙であるということは確かであると強く感じました。

選挙が終わってから盛り上がるデモなんて、センスがないと思ってしまいます。


⑤一般市民

そんな国でも普通に生活している人はいるのです。
クリスマスにウガンダを再訪問した際、クリスマス前のクラブで南スーダン人の兄弟に会いました。
自家用車を使って陸路でカンパラまで、休暇に来たそうです。

カンパラの繁華街(カバラガラ)にあるクラブ
2010年にはこの近くで悲惨なテロがあった














忘れてはいけないのは、ニュースというのは非常を伝える手段であるということ。
通常・日常がニュースになることは稀であること。
非常もまた真実ですが、それがすべてではありません。
近年、SNSの発達で一般市民にも発信の機会が与えられ、ソマリアの女の子が、戦場ではないソマリアを配信したことが話題になったことがありましたね。

東日本大震災の際、ウガンダ人の多くは、日本列島全体が津波で流されたと思ったことでしょうが、日本人は常に同じような思考をしていることがあります。

ちなみに南スーダン人のお兄さんは私に、スミノフアイスをおごってくれました。





参考文献
2015 UNHCR country operations profile: South Sudan  - UNHCR
スーダン共和国(The Republic of the Sudan) 基礎データ  - 外務省
南スーダン共和国 (The Republic of South Sudan) 基礎データ  - 外務省
南スーダン国際平和協力業務(PKO) - 防衛省



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